2013年12月06日

龍野アートプロジェクト2013

岡山のYです。

11月23日、兵庫県龍野市で開催されていた
龍野アートプロジェクト2013「刻(とき)の記憶」に行って来ました。

龍野は岡山から高速を使うと1時間足らず。神戸、大阪方面に行く時は
必ず通る街ですが、インターを降りて訪れたのは初めてです。

街はずれの無料駐車場に車を止め、揖保川にかかる橋を渡ると
朝10時にもかかわらず街がとても賑やか。アートでこんなに人が集まるとは…。
実は、一帯でオータムフェスティバルが同時開催されていたのでした。

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アートのメイン会場は、ヒガシマル醤油の古い工場や事務所など。
荒れる一方だった廃工場を地元の人達が協力しあって再生し、2011年から
スタートとしたこのイベントの会場として活用しているそうです。

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照明のない木造の仕込み蔵を活かした空間のなかに、光を発する作品や映像作品が
数多く展示してあります。時を刻んだ歴史のある建物の中に置かれた現代アートが
ひときわ際立っており、その組み合わせの妙に興じることができました。

そんな中、今回印象に強く残った作品は聚遠亭(しゅうえんてい)という建物を
使った展示です。建物は、街の背後の丘陵地にある庭園の中にあり、写真のとおり
周りには見事な紅葉が広がっていました。

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これが、地元兵庫県出身の作家、東原智裕の作品「視界」です。

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部屋に入るとまず、揖保川で拾ってきた流木と樹脂で製作したうさぎの頭部を合体
させた作品が現れます。ここで、作家本人からじっくりと作品の解説を聞くことが出
来ました。元々エッチングからスタートとした人のようで、作品を見てすぐ版画が立
体化したような印象を持ったので、思わず納得しました。
素晴らしく繊細で、気の遠くなるような緻密な作業の跡がうかがわれます。

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写真ではわかりにくいですが、どの動物も左右で顔の表情が違います。
片方は、若く張りがあり、もう片方は、年老いて皮膚はたるみ、写真のウサギに
至っては朽ち果ててしまっています。

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作者は、「作品と正対する人の意識に静かに働きかけ、生と死の狭間や境界、心や魂の
ような異質の存在を感じることのできる作品を作りたい」と語っています。
私自身50才を過ぎ、死が少しずつ身近になっていると感じる今日この頃。
とても感慨深い気持ちになりました。

全会場見終えて駐車場へ向かう途中、民家の壁に「死の存在が、生を輝かせる」という
ような意味の詩篇の一部のような張り紙を見つけました。(写真取り忘れました)
まだまだ、見たいアート、行きたい美術館は数知れず。今回のように心に響くアートとの
出会いを求めて、どこへでも出かけていきたい。
大袈裟ですが、そんな気持ちになりました。


「龍野アートプロジェクト−刻の記憶−」公式ホームページ(会期終了)


posted by アートみて歩き at 14:21| Comment(0) | 岡山在住Mの見て歩き

2013年11月15日

横尾忠則現代美術館

こんにちわ、Sです。

10月2日に書いた「アートみて歩き」のテキスト、
すっかりアップするのを忘れていました。
「秋になりました」→「冬になりました」に訂正しながら読んで下さい。

    ●

今年の夏は、暑かったですね。
汗をかきかき廻った美術館の「みて歩き」を報告しないまま秋になりました。

レポート使用の写真はタイムリーではないですが、
「横尾忠則現代美術館」は、去年オープンしたばかりの話題のスポット。
ちょこっとお伝えします。

兵庫県立美術館王子分館(旧兵庫県立近代美術館)の西館をリニューアルしたのが
「横尾忠則現代美術館」です。

旧館の設計は<村野藤吾>、たてもの探訪としても楽しめます。

横尾忠則美術館ですから、横尾作品がテーマごとに展示されます。
夏休みにかけて子どもが多く観に来てくれるだろう、とテーマは、

『横尾忠則どうぶつ図鑑』 YOKOO'S YOKOO ZOO
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作品には必ず動物が描かれており、
ストレートな表現だったり、意味ありげであったり。
子どもの気分で動物探し、というのもたのしい鑑賞の仕方でした。

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平面だけでは、という横尾さんのサービス精神からか、
お隣が王子動物園という理由からか、動物の剥製も展示されていて、
あらためて動かない動物をしげしげと眺めたりするのでした。

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作品解説は大きな文字で、なおかつ、ふりがながすべてに打ってあり、
子どもたちが一つ一つをじっくり読んでくれるように、
という配慮がされていました。

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私も20代に「横尾忠則」を見たときの衝撃はすごかったですが、
現代っ子たちはどうみるのでしょう?
エロティックで
エネルギッシュで、
幻想的で、
不安定な精神状態をアートとして受け止める。
おもしろい経験をしたのではないかと想像します。

私が中学1年生の時、友人とそのお母さんに連れられて、
「ゴヤ」展を観に行ったときのことは、40年以上経った今も忘れていません。
怪物と化した巨大な人間が、人間をハンバーガーを食べるように、食らいついている絵です。
題名は、我が子を喰らうサトゥルヌス(黒い絵)。
神話をテーマに描かれた絵ですが、裸婦像の衝撃どころでなく、
トラウマのように、その後も何度か夢に現れたものです。

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この世にあらわれない、しかし人間の想像が作り出す映像があることを、
12歳のころに思い知ったことを思い出しました。

アートって自由なんだ!
この夏ここで、どんな出会いがあったのかな、そんなことを考えた展覧会でした。

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ロビーでは、大型モニターに、ライブペイントをしている横尾忠則さんが
映し出されていました。

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ミュージアムショップも楽しかったです。
ただ、横尾忠則とともに成長してきた世代としては、
グッズはなんか軽い存在。(お値段は重かったけど)
リアルに目にしてきたポスターやチラシ、チケット、書籍などに
過ぎ去った青春を重ね合わせた次第です。



さてさて、
現在行われている展示は
『横尾忠則 肖像図鑑』 HUMAN ICONS
2013.9.28 sat. - 2014.1.5 sun.

です。
これまた、楽しそうな横尾コレクションが期待できます。

しかしですね、
草間彌生さんもそうですが、
こういう企画展が次から次へと行えるとは、
一体どれだけの作品を描き続けているのでしょう?

そのエネルギーに、ただただ感心したのでした。


posted by アートみて歩き at 15:35| Comment(0) | 木津川市在住Sの見て歩き

2013年11月08日

瀬戸内国際芸術祭「秋編」

岡山のYです。

夏は、あまりの暑さに足が遠のいていた「瀬戸芸」。
涼しくなってきたので、10月中旬に、粟島・高見島+豊島に行って来ました。

粟島・高見島は、今回初開催の会場。
香川の多度津港から高見島経由で船を乗り継ぎ、粟島へ渡ります。

港に着くと島をあげての歓迎ムード。
アート作品に辿り着くまで、出店が賑やかで、気分も盛り上がります。
主な会場は、廃校になってしまった海員学校、小中学校などの公共施設で、
どの会場も規模が大きく、見応えがあります。

写真は、特別参加のカモイ加工紙が手掛けた小学校。
廃校になってしまった学校の教室に鮮やかなmt(マスキングテープ)が
貼りめぐらされ、ショップも大賑わいでした。

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そんな中、粟島で印象に強く残った作品は二つ。

一つは、古民家のガラス戸を使った佐々木類の「Subtle Intimacy」。
暗い室内の畳の上に座って鑑賞する作品で、訪れた時は、部屋の片隅に作家が居て、
作品の解説を聞くことが出来ました。
小声で後ろから突然話しかけられたので驚きましたが、作品を目の前に真近に本人と
話ができるのもアートイベントの醍醐味です。

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もう一つは、使われなくなった郵便局を新しい形に再生したみせた久保田沙耶の作品。
「漂流郵便局」というタイトルで、中で迎えてくれたのは、この郵便局の元局長さん。

懐かしい未来への郵便物を配達とするというコンセプト、その発想とそれを形にする
手腕に感銘。想い出に残る人や失くしてしまった物など、届け先のわからない手紙を
受け付けてくれる郵便局で、行く宛のない差出人の想いが、流れ着くようにこの郵便
局に集まってくるというもの。
会場では、チラシに局長が消印を押してくれるという趣向もあり、得も言われぬ郷愁を
感じさせる作品でした。

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昼からは、また、船に乗り、隣りの島、高見島へ戻ります。
お椀を被せたような形の島で、平地部分が少なく、坂道の急なことといったら
半端ではなく、坂の登り口に竹製の杖が用意してあるほど。

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息を切らせながら坂を登り切り、しばらく歩くとカフェ「海のテラス」へ。
辿り着くまでがしんどかった分、眼前に広がる瀬戸内の景色の美しさは格別で、
その素晴らしさに浸り切ることができました。

数々のアート作品もさることながら、普段は当たり前に見ている風景を
こうして切り取ってみせてくれる。これこそが、この芸術祭の肝かも知れません。


日を改めて、今度は、3年前にも訪れた豊島を再度訪問しました。
お目当ては、マイク+ダグ・スターンによる「Big Bambu」や永山祐子による
豊島横尾館など。この島では、基本バスを乗り継いで島内に点在する作品を巡ります。

「Big Bambu」は、1回8名限定のガイドツアーのため、まず、整理券をもらいに
作品近くの受付まで行かねばなりません。
9時半に受付に着いて、14時半の整理券をなんとかゲットできました。

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受付の近くにある作品「かがみ〜青への想い」などを見た後、時間が空いたので、
3年ぶりに豊島美術館へ。

今回は館内滞在時間の制限がなく、心ゆくまで異空間の佇まいをじっくり堪能する
ことができました。
「雨の日もまた、別の趣があって素晴らしい」との情報を得たので、
また、機会があれば訪れたい・・・。 そんな思いに駆られました。

午後からは、また、バスを乗り継いで「Big Bambu」の受付へ。
竹を編んで作った通路を登り、15mを超える高さにある展望台へ上がると
このような景色です。数千本の竹を使ってできた作品は、見事! というしかありません。

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写真は、家浦港の宇野港(岡山)行き旅客線乗り場、夕方の様子です。
一行は、どうやらチューリッヒからのツアー団体のようで、
ドイツ語が飛び交うなか、ヨーロッパのリゾート地に遊びに来ているかのような
錯覚に捉われました。


彼らの目に瀬戸内の風景やアートが、どのように映ったのか。
残念ながら、聞く勇気と語学力はありませんでしたが、
満足げな表情から読み取れる感動は、我々日本人と同じかそれ以上のように感じました。

3年後の「瀬戸芸」も楽しみです。

posted by アートみて歩き at 18:30| Comment(0) | 岡山在住のYの見て歩き