2014年03月11日

関西6つの芸術系大学の卒業展を観覧。


お久しぶりです、Sです。
Mさんの「2013年アートみて歩き総括編を書こう!」の提案に
相づちを打っておきながら実現せぬまま、
あれよあれよともう2014年3月になってしまいました。

頷いたことは、とっとと忘れて、今回は、「京都5芸術大学+大阪芸大卒展みて歩き」です。
2月は、卒業制作展まっさかり。
入場料も必要ないですし、若い作家たちの熱い思いがバンバン伝わってくる卒業制作展は、ちょっとした穴場と思います。

膨大な作品のほんの数点なのですが、雰囲気が伝わったらうれしいです。
開催順にご報告しましょう。


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「成安造形大学」卒業制作展・新旧制作展。
(京都市美術館にて)


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    人の鼓動に合わせて動機するソフトが組み込まれている作品。


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    ジョージシーガル?って思いましたが、京都市立美術館の長い壁面にうまくはまっていました。


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    アニメ・マンガ・イラストの作品群はどの学校も元気がよかったです。


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    そんな中、背景画に目がいきました。巧い!
    楽しいんだろうなあ、絵の内容に関係なく、ビンビン作家の気持ちが伝わってきました。

 
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「京都嵯峨芸術大学」制作展
(京都市美術館にて)


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    数ある作品を観た中で、まだ心に残っているのが、この作品。
    遠くから段々近寄っていく中で、いろいろ頭で考えるのです。
    「京美の床に描いて良いの?」
    「いや待てよ」
    「え?これって・・・・」

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    作品と本物の床の境目が巧妙でなかなか分かりませんでした。
    何分かして、作品全体にやっと向かい合うことができたとき、「恐れ入りました」と頭を下げました。


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    白無垢に京都の四季の情景が次々と映し出されるこのアイディアに脱帽。
   素敵な作品でした。


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    卒展では、よくゼミごとに合評をされているシーンに出会います。
    さりげなくその模様を聞けば、作家の作品意図や先生の評価が聞けます。


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「京都市立芸術大学」作品展
(京都市美術館にて)


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    お!どこかで観たような作品。
    同じことを考える人が世の中にはいっぱいいるものです。


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    陶でありながら、布のしわがよった感じ、縄の質感が見事に表されていました。


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    発電機を作って何やら考えている学生。
    私も質問したかったけど、作家のまわりにはいつも難しい討論があって、
    結局何も聞けませんでした。


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    日本画模写の学生さんの作品に力作が揃っていました。
    地味なお仕事ですが、必要な仕事です。
    がんばって、と応援を送りたくなりました。


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「京都精華大学」卒業・終了制作
(京都市美術館にて)

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    一人で何十種類もの本の装丁をした作品を古い机に展示。
    なかなかのテクニシャン、と思っていたら、作家は小説家を目指しているといいます。
    デザイナーとしても充分やっていけるのになあ。

    印象に残るのは、版画科。
    卒業展と同じ時期に行う個展やグループ展は、攻めの姿勢が感じられました。
    いくら時間があっても足りないっていうところでしょうか。


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    今回、精華大学の卒業展、とてもおもしろかったです。
    勢いというか、元気がありました。


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「京都造形芸術大学」卒業展・大学院修了展
(京都造形大学校舎にて)

    京都造形大は、自校の敷地内にて卒制を展開。
    さまざまな可能性と、伸びやかさがありました。


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    どこかで観たような作品に出会ったとしても、無視できないのは、作品に込められた思想です。
    何度も重ねていく修作の向こうに思考も確立されていくはずです。


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    校内に数え切れないホワイトキューブのギャラリーがあるってうらやましいです。


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    ただただ、きれいな作品でした。

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「大阪芸術大学」卒業制作展
(大阪芸術大学校舎にて)


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    大阪芸大も自校の校舎を使っての卒業制作展でした。
    言ってみれば、どこもがギャラリー、どこもが表現の場所になり得るのです。


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    写真科のポスターが、面白く・・・・。


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    作家の数だけおもしろい作品とストーリーがありました。



6つの美大・芸大をまわることは、相当のエネルギーを要しました。
しかし、それ以上に楽しい発見や、時代の流れを感じることもできました。
若者は、とにかくのたうち回っています。
完成されていないから、勢いがあるとも言えるのかも知れませんが。

思わずツッコミたくなる作品も多々ありました。
でもそういう時期があったからこそ、その先がある。
のたうち回りながらも前進するこの時期のパワーはすごいと思います。
のたうち回っていない作品は、論外です。

今回は、ちょっと上から目線が鼻についたらごめんなさい。
でも総体的に楽しいのですよ、卒業制作展というのは!!!
この中から、自分が目を付けた作家が大きく成長していくのをみていく醍醐味もあり。
ぜひ来年は、卒業展をのぞきに行きませんか?







posted by アートみて歩き at 16:47| Comment(0) | 木津川市在住Sの見て歩き

2013年11月15日

横尾忠則現代美術館

こんにちわ、Sです。

10月2日に書いた「アートみて歩き」のテキスト、
すっかりアップするのを忘れていました。
「秋になりました」→「冬になりました」に訂正しながら読んで下さい。

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今年の夏は、暑かったですね。
汗をかきかき廻った美術館の「みて歩き」を報告しないまま秋になりました。

レポート使用の写真はタイムリーではないですが、
「横尾忠則現代美術館」は、去年オープンしたばかりの話題のスポット。
ちょこっとお伝えします。

兵庫県立美術館王子分館(旧兵庫県立近代美術館)の西館をリニューアルしたのが
「横尾忠則現代美術館」です。

旧館の設計は<村野藤吾>、たてもの探訪としても楽しめます。

横尾忠則美術館ですから、横尾作品がテーマごとに展示されます。
夏休みにかけて子どもが多く観に来てくれるだろう、とテーマは、

『横尾忠則どうぶつ図鑑』 YOKOO'S YOKOO ZOO
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作品には必ず動物が描かれており、
ストレートな表現だったり、意味ありげであったり。
子どもの気分で動物探し、というのもたのしい鑑賞の仕方でした。

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平面だけでは、という横尾さんのサービス精神からか、
お隣が王子動物園という理由からか、動物の剥製も展示されていて、
あらためて動かない動物をしげしげと眺めたりするのでした。

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作品解説は大きな文字で、なおかつ、ふりがながすべてに打ってあり、
子どもたちが一つ一つをじっくり読んでくれるように、
という配慮がされていました。

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私も20代に「横尾忠則」を見たときの衝撃はすごかったですが、
現代っ子たちはどうみるのでしょう?
エロティックで
エネルギッシュで、
幻想的で、
不安定な精神状態をアートとして受け止める。
おもしろい経験をしたのではないかと想像します。

私が中学1年生の時、友人とそのお母さんに連れられて、
「ゴヤ」展を観に行ったときのことは、40年以上経った今も忘れていません。
怪物と化した巨大な人間が、人間をハンバーガーを食べるように、食らいついている絵です。
題名は、我が子を喰らうサトゥルヌス(黒い絵)。
神話をテーマに描かれた絵ですが、裸婦像の衝撃どころでなく、
トラウマのように、その後も何度か夢に現れたものです。

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この世にあらわれない、しかし人間の想像が作り出す映像があることを、
12歳のころに思い知ったことを思い出しました。

アートって自由なんだ!
この夏ここで、どんな出会いがあったのかな、そんなことを考えた展覧会でした。

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ロビーでは、大型モニターに、ライブペイントをしている横尾忠則さんが
映し出されていました。

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ミュージアムショップも楽しかったです。
ただ、横尾忠則とともに成長してきた世代としては、
グッズはなんか軽い存在。(お値段は重かったけど)
リアルに目にしてきたポスターやチラシ、チケット、書籍などに
過ぎ去った青春を重ね合わせた次第です。



さてさて、
現在行われている展示は
『横尾忠則 肖像図鑑』 HUMAN ICONS
2013.9.28 sat. - 2014.1.5 sun.

です。
これまた、楽しそうな横尾コレクションが期待できます。

しかしですね、
草間彌生さんもそうですが、
こういう企画展が次から次へと行えるとは、
一体どれだけの作品を描き続けているのでしょう?

そのエネルギーに、ただただ感心したのでした。


posted by アートみて歩き at 15:35| Comment(0) | 木津川市在住Sの見て歩き

2013年08月27日

あいちトリエンナーレ2013

Sです。
美術館巡りフリークのMさんYさんには負けますが、
こつこつ観てまわったレポートお届けします。
よろしく〜。


あいちトリエンナーレ2013


始まって間もないお盆に行ってきました。
いや〜、暑かったです。


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まずは愛知芸術文化センターで前売り券をチケットに代えてスタート!

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ヤノベケンジと北野タケシの世界は、いつもどこまで心を寄せていいのか分からなくなる。
しかし、作品の解説として「近代文明の中で分化していった神、美、愛を(中略)太陽をモチーフにしたアートの中で結婚式を行うことで(中略)全てが再生のための祝福を行うと同時に祝福される」という言葉が目に留まる。「そうか、私も祝福されているんだ」と素直に神を前に喜んだ。

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名古屋市美術館から徒歩15分で行ける長者町会場は、その地場が持つパワーがたっぷり潜んでいた。掘り起こせばもっとおもしろい空間が現れそうだ。ただし、お盆だったからか、猛暑だったからか、人が通りを歩いていなかった。おもしろさ独り占めの気分で歩く。

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暑い中で楽しめたのは、Nadegata Instant Party (中崎透+山崎大督+野田智子)。STUDIO TUBE のロゴによってハリウッドの撮影所のようなファサードを作り出す。建物好きには「ヒュー、ヒュー!」の展示会場。もちろん、地元を巻き込んだ映像(映画)も面白かった。

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もっとも楽しかったのが「納屋橋会場」。畳みかけるようにさまざまな映像作品を楽しめる。海外の作家に拍手。ニラ・ペレグの映像、ブーンスィ・タントロンシン、純粋に面白かった。写真は、片山真理。アーティストがまだ作品に手を入れているところが見られたのだが、こういう作品に出逢ったのが初めてだったので、今までになかった感情を体験。言葉では表現できないが、後を引く作品だ。

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名和晃平がいいなあ、と初めて思った作品。(ごめんなさい、上から目線で・・・。)現代アートは、今まで見たこともなかった景色、感じたことのなかった感情、初めての景色に出逢わせてくれる。夢の中を歩いているような感覚だ。「揺れる大地」という大きなテーマに応えた作品なのだろう。しかし作品の意図を考えるというより先に感覚が勝った。写真には観客を入れたが、実際は一人雲の中を歩くような、孤独感に包まれていた。



さて、1日名古屋エリアを楽しんだ後、岡崎に1泊して岡崎地区を廻る。
いやー、名古屋に比べてエリアは小さいけれど、すごい作品に出逢った。

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「揺れる大地」は、東日本大震災を示しているのだろうが、まさにそれをアートとして表現したのであろう作品。しかし、半端なくずっしりと心に届く空間だ。膨大な新聞紙と、壊れたグランドピアノたち。もやった空気、眩しい光り、体感する音。私は震災後の東北に行ったことはない。しかし、そのことを考えずにはおられない。

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作品は続く。追い打ちをかけるように、かなりの距離から壁一枚隔てた四角い穴から、さらにその風景を見ることになる。まるでテレビで地震の模様を見ていたあの日の自分のようだ。観客が少なかったからか、そういう空間に気持ちがのめり込めた。

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かつては大いに賑わったと思われるショッピングビル、シビコの屋上での作品は、これは体感しなければわからない。一つ言いたいことは、この日の暑さは尋常ではなかったということ!この全面白く塗られた屋上に立って、この年最高の太陽の照り返しを浴びることのできた幸運を喜ぼう。


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松本会場は、名古屋では見ることのできなかった路地裏アートが楽しめた。

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青木野枝

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「日本共産党で、カールマルクスの誕生会をする。」



さて、番外編。

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これから廻られる方にお勧めなのが、ベロタクシー。何度も言いますが、お盆、酷暑、というのがお客さんを遠ざけたようで、私は快適にベロタクシーを効率良く利用しました。

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地面すれすれの目線から、名古屋の大通りを観光できました。一生懸命に自転車をこいでくださったスタッフのみなさんに、心からお礼を申します。ありがとうございました!すごいおもてなしの心を感じました。

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おまけ。

岡崎に行ったら、オカザえもんに会えると思っていたのに会えなかった!いつから、私はゆるキャラファンになったのだ?お祭りには、お祭り心で向き合おう。猛暑ではありましたが、楽しい2日間でした。

次回Sは、去年新しくできた「横尾忠則美術館」をお届けします〜!


posted by アートみて歩き at 14:31| Comment(0) | 木津川市在住Sの見て歩き