2015年08月20日

「天若湖アートプロジェクト」

Sです、こんにちわ。

8月もアート祭が目白押しですが、
この天若湖アートプロジェクト「あかりがつなぐ記憶」はお勧めです。

お伝えしましょう。


ダム建設に伴い、京都府日吉町の5つの集落が水没しました。
新しい水面である天若湖と、地域の歴史と人を繋ぐ手段として、
風景とアートの力が、このプロジェクトを創り上げました。
今年で10年になります。

輪音プロジェクトさん企画の「バスツアー」に参加し、今年も見学することができました。

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まず訪れたのは、日吉町郷土資料館。
茅葺きの家2軒が、そのままに保存されています。
かつての村の風景、人々の暮らしの記録も残っています。


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その後、「スプリングひよし」に戻り、陽が落ちるまで待機します。
この「スプリングひよし」は、ダム建設に伴いできたアメニティ施設です。
温泉、プール、体育館、レストラン、道の駅が、近代的な建物に集約されています。

不便な山奥にあって、いっぱいの町民や観光客が利用していました。


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天若湖アートプロジェクト実行委員長さとうひさゑさんが、ツアーのみなさんをお出迎え。
京都造形芸術大学環境デザイン学科の下村先生もいらっしゃいました。

このさとうさんの解説、案内が、ツアーの良いところで、
プロジェクトの目指すところや、この村の歴史を丁寧に語ってくださり、
大きな意味に気づくのです。


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日吉町で作られたワインに、
「あかりがつなぐ記憶」というタイトルと、参加アーティストの絵がラベルがついて、
オリジナル商品に。

「売り上げの20%が、このプロジェクトの資金になる」と聞いて、さっそく購入。


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さあ、夕陽が落ちたら出発です。


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これは、ダムの湖面ですが、出発時には真っ暗で、これより先は撮影不能。
ということで、言葉で説明します。

バスで10分ちょっと登り、さらに下車してからは湖面を間近に見られるところまで15分ほど歩きます。
舗装はされていますが、明かり一つない道は、大勢で歩けばこわくないものの、
やはり非日常の世界、気をつけながら歩きます。

道を誤らないよう、両端に電池ろうそくが灯籠のように並んで置いてあります。
これもスタッフ(アートプランまぜまぜ、桂川流域ネットワーク、京都造形大、摂南大学の2,3回生、
その他さまざまな団体やボランティアの人々)の活躍でしょう。

やっと着いた広場から見た景色は、
湖面に点る微かな灯り・・・・・。

ダムに沈む前の民家のあった場所をGPSで計測し、
その場所に明かりを置いていくことにより、
昔の村々の夜景が蘇る、という壮大でなおかつ静かなプロジェクト。

いろいろな社会の成り立ちや歴史を振り返る企画として、実にすばらしい。
そして、とても大変な準備が伴うことも、さとうさんの説明で知るのでした。


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(輪音FBより)

とても地味ながら、10年続けてこられたパワーに拍手です。
「また来年続けることができるかわかりません。」というさとうさんの中に、
しかし確たる強い意志が感じられ、
一人でも多くの人に知ってもらいたいアートプロジェクトだと思いました。

来年、「天若湖アートプロジェクト」で検索・参加してください。
posted by アートみて歩き at 13:22| Comment(0) | Sのみて歩き

2015年08月12日

【Euroart Open Studio 2015】(4)

【Euroart Open Studio 2015】(4)

そもそも、このユーロアートという場所は、
数人のアーティストがこのロンドンのちょっと中心から外れた古いビルを借りて、
スタジオとして使い出したところから始まります。

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今はその作家が、建物全体の運営もしているそうですが、
スタジオは細かく仕切られ、いまや70ものアーティストが利用しています。
その人気はなぜでしょう?
スタジオとは、自由な創作活動ができる環境、雰囲気が必須です。
この鉄のサッシの窓から見える空は、なんてすてきなのでしょう。


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こちらは中国から来た画家のアトリエ。
正確な動物デッサンと観葉樹の鉢のある窓辺の雰囲気、落ち着きます。


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アーティストが求める世界に近いのか、
そうだ!ちょっと昔の美術大学の教室のようです!
このレポートを書きながら、私自身もなぜこういう場所が落ち着くのか、ちょっと理由が見えて来ました。


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ここは全面窓のある一番大きなスタジオ。
工場か作業所の在りし日の名残が感じられる部屋です。
70もの部屋に仕切るのですから、窓のない4畳半くらいのサイズのスタジオの人も当然います。
でも、使い方それぞれの自由さは、どの部屋も同じ。


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こちらの窓は、階段近くの通路、公共の場です。
そこに、置かれたワイングラス。
枯れた葉っぱが、廃墟観を醸し出し・・・・まるで作品に見えます。


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この窓は、何かの理由で割れた磨りガラスの代わりに、透明ガラスがはめ殺しの窓に入れられています。
サッシの形に切り取られたトタン屋根の風景が、やっぱり作品のように目に映ります。


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ロンドンの物価も家賃も、オリンピックを契機に、一気に上がっていると聞きました。
作家は少しでも安いスタジオを求めるのか、さらに屋根裏部屋もリフォーム。


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このように、鉄骨トラスを貫いてまた小部屋をつくり、ここにもスタジオがいくつか・・・・。


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彼女も屋根裏のスタジオで、クロッキーの作品ばかりを描いていました。
6月というのに、真夏のように暑かったです。
扇風機がガンガン回っていました。


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廊下の壁も作品のキャンバスとなり・・・・。


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スイッチや蛇口で遊んだり、
階段の踊り場の暗い壁にアニメーションを映したり、
古い建物は、何だって表現の場になります。
やっぱり昔の美術大学の匂いがここにはある!!!


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廊下の壁に、サイレント・オークションのための作品が並び、
みんな、落札のために希望価格と連絡先を作品の下に記入していました。


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オークションは、建物内にあるカフェバーにて行われるようでしたが、
私は次のエキシビションを観るために、ユーロアートを後にしました。


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このカフェバーがまた手作り感たっぷりの、アーティスト御用達のゆる〜い空間でした。

こんなに楽しいイベントは久しぶりでした。
旅人でなかったら、額付きの作品、オークションで購入するということも経験したかったな。

次回は、ヘイワード・ギャラリーの「カーステン・ホラー展」の模様をお伝えします。

posted by アートみて歩き at 13:43| Comment(0) | Sのみて歩き

2015年08月10日

【Euroart Open Studio 2015】(3)

【Euroart Open Studio 2015】(3)

前回、対応してくれた作家さんの顔を載せました。
作品以上に強く惹かれる方もあり、
「Euroart Open Studio 2015」は、
作家さんとコミュニケーションを取る中で、
作品がより近づいてくる、という思いを強くしました。

そんな中、作品、作家、と言うより、
スタジオ(アトリエ)がより強烈に印象に残ったというケースに出会いました。

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マシュー スモールさん。
ビジュアル・アーティストと名刺には書いてありました。
38才。


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黒人の肖像画のみをオイル・ペイントで表現しています。
パッと見た印象では、あまり好みじゃないかも・・・と通り過ぎようとしたのですが、
このスタジオに足を踏み入れたら、出られなくなりました。


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作品の数々から、デッサンの正確さに加え、とにかく描き続けている日々が見えて来ます。
もっとよく見ると、キャンバスはすべて廃品利用であることに気がつきます。
例えば、上の写真、右端の絵は車のボンネットに描かれています。


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これはコルクの壁を引きちぎったような破片に。
小作品ながらすごい迫力です。


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これは大作。
よく見てみると、ロッカーの扉、スチール製の戸棚を分解したものなど、
そうした廃品をつなぎ合わせたものをキャンバス代わりにしています。


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これは冷蔵庫の扉部分です。
近寄って見ると、取っ手もそのままに描き込んでいるのがわかります。
そこに必然性があるわけでなく、穴や突起物を飛び越えて描き続けているところに
作家のおもしろく感じているものがありそうです。


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スタジオの床を守るべく敷いたシートの汚れはまた、作家の格闘の痕であり、
作品の一部となってこちらに向かってきます。


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絵の具をまとめているキャビネットの激しさ、
混沌としたマシューさんのスタジオこそに、感動がありました。

創作の手を止めて、私との会話に数分答えてくれました。
「来月ギャラリーで個展をするんだ、観に来てくれる?」
「ごめんなさい、今月半ばに日本に帰ってしまいます」
「残念」

でも、きっとこのスタジオでこれらの作品を観たから、
より強く感動できた気もします。
「ユーロアート オープンスタジオ」ならではの醍醐味。


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ちなみに、これは廊下の白い壁に飾られていた作品。
これも冷蔵庫の扉に描かれたものです。
きっと個展では、こういう展示方をされるのだと思いますが、
ここのスタジオそっくりそのままを会場に表現できたら、
それはそれでおもしろい個展になるのでは・・・・?
なんて、これは私の勝手な想像ですが・・・・・。

つづく

posted by アートみて歩き at 13:47| Comment(0) | Sのみて歩き